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essay music

2つの夜のライブ2《Nagi MOCA》

上質なアート作品は、心を豊かにしてくれる。

音楽の場合は、ライブがいいな。心が落ち着き、やわらぐ感じがする。

そう思えるライブに、この日も行くことができた。

2018年6月10日(日)夜も雨だった。梅雨の雨で、静かな雨だ。

智頭から国道53号線を走り、峠を越えると岡山県奈義町で、ここに奈義町現代美術館(Nagi MOCA)がある。

これまでも53号線を通るたびに看板は目にしていたが、行くのは初めてだった。

信号のある交差点を右折して、駐車場に少し迷って筒のような建物の横を一度通り過ぎた。

引き返して、何台かクルマが停まっている場所に「ここかな?」と見当をつけて、クルマを停め、建物を見ると、商工会議所の看板があった。隣には、部屋の明かりの中に書棚が見えて、図書館らしい建物がある。先程見た筒状の建築物の方に近づくと、ようやく「Nagi MOCA」の看板が見えて、ここでよかったんだとわかる。

この日は、ここでミュージアム・ナイトライブがあり、新進気鋭のアンサンブル・ジャガーというヴァイオリンとチェロの2人のユニットの演奏を聞くことができた。

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ミュージアム×ナイト奈義MOCA 2018
ステージとオブジェのある空間から、入り口方向を見た。

打ちっぱなしのコンクリートで囲まれた空間。通路を除いて、大きな丸い石が敷き詰められたスペースに、ワイヤーの曲線で作られたシンプルなオブジェが石畳から上に何本も伸びて、空を飛ぶ生きものの軌跡を描くように輪を作っていた。その中央奥に小さな半畳ほどの台座が2つの島のように置かれていて、その一つには、譜面台だけが、もう一つには、チェロと椅子と譜面台が薄明かりの中で開演を待っていた。

当然のことながら、音響はよく響く。

「クルマのジャガーでもなく、動物のジャガーでもありません。」

MCでヴァイオリンの長沢拓己さんが言う。チェロは江島直之さん。二人とも若いけれど、各地で精力的に演奏活動をしているようだ。曲目はかなりマニアックな選曲で、もうぼくは、ほとんど題名も覚えていない。それでも、二人ともその会場の独特の雰囲気を楽しんでいるのがわかったし、ぼくも聞いていて楽しかった。

「ジャガーは、岡山弁のじゃがぁ、です。」(笑)

鋭いバイオリンのアクセントも、重厚なチェロのソロも、空間の響きによって、元からそんな音だったと感じられるくらいに嫌味のない音の味付けで聞くことができた。

先日の沢庵寺のジャズ演奏でも「七つの子」「浜辺の歌」日本の歌の良さが光っていた。偶然か、この日も、「城ヶ島の雨」「椰子の実」「はつ恋」それから、黛敏郎作曲の「文楽」チェロ独奏の迫力が印象に残った。

いやー、音楽って、ほんっと、ええもんじゃがぁ!

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