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おじぞうさん

この地域では、毎年8月23日に地蔵盆というお祭りがある。

かつては魚市場に屋台が並び、ほんとうのお祭りのように賑わっていた記憶がある。子どもたちには、お菓子やお団子がふるまわれたこともあったと思うが、今はどうだろう。

踊りや花火も、おぼろげな記憶の向こうで、お盆の風習と重なっているのかもしれない。

いずれにしても、ここに並べられているのは、ふだんは、道祖神として祀られている地蔵尊だ。この地域では、それとは別に薬師如来が祀られている薬師寺にもお参りをする。

砂が敷き詰められたパレットのようなものがいくつか並べられて、そこにすき間をぬってロウソクを立て、盛大に束にした線香に火をつけて立てる。当然もうもうとした煙の中で、人々はお祈りをする。

むかしはひっきりなしに念仏を唱える老人がいたと思うが、今は念仏を唱える時間が決められているのかもしれない。

今年は特に帰郷する親戚も少なく、子どもの姿が少なくて、おじぞうさんもさびしく思ったことだろう。

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