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年配の方から「最近物忘れがひどくって。」ということばを聞くことが多い。
そんなときぼくは、
「前からですよ。」
そんなことは言わない。そんなミもフタもない。
「忘れるから、新しいことが覚えられるんですよ。どんどん忘れましょう。」
これは、たまに言うかな。
忘れる、ということは善悪で言うと、悪であるという意識が人にはある。ぼくの中にもまったくないわけではない。
ちゃんと覚えていないと、学校で点が取れなかった。そういうことは、しっかり覚えているんですね。
さっき書いた「忘れるから覚えられる」ということは、本当だと思う。忘れるということは、頭の中で、情報をいったんどこかに置いておくということ。必要なときに、どこに置いたかがわかれば情報はすぐに取り出せる。その状態に過ぎない。
だから、忘れるということは、頭の中を整理するためには、必要なことだと思う。
なんでもよく知っている頭のいい人というのは、こうした情報の整理ができていて、スピーディにできる人なんだと思う。
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情報の整理をするときに、関連付けをして覚えることがある。
昨日あるクラスに新しく入った男性の名前を「体操のお兄さん」で覚えた。名前が体操のお兄さんと同じだったからだ。でも、今ふと、その名前、ファーストネームでは呼ばないだろうなと気がついた。たいがい姓にさんをつけて呼ぶだろう。
肝心な、その姓の方は忘れてしまった。まあ、いいや。また別の方法で覚えよう。
人の名前って、こんな風に関連付けで覚えていることが多い。
あの有名人と1字だけ違う人みたいな。
人の名前を思い出せないときに罪悪感を感じるのは、その関連付けを忘れているときだ。
「どっかで会ったはず。」とか、「なんか知ってる。」とか。
とくに「たしか小学校のときの保健の先生だったはず。」とか、お世話になったというイメージがあると、名前を思い出せないのはもどかしく思う。
まあ、いいと思います。
忘れることは、あります。
また、新しく覚えましょう。
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